大阪高等裁判所 昭和28年(う)1659号 判決
覚せい剤取締法制定の目的はその第一条に明定する通り「この法律は覚せい剤の濫用による保健衛生上の危害を防止するためその輸入、所持、製造、譲渡、譲受及び使用に関して必要な取締を行うことを目的とする」ものであるから、この目的に副い同法第十七条を考察すれば同条にいわゆる「譲り渡し」は有償たると無償たるを問わず贈与もこれに包含せられ何人も覚せい剤を他に贈与し又は贈与を受けてはならないものと解するを相当とする。そして所論も肯定する通り被告人は原審公判廷において金栄奎に対し覚せい剤注射液を贈与したことを自白しており原判決挙示の証拠によれば被告人は覚せい剤注射液を買受け他に譲渡し一部残存品を所持していた事実が明白であるから、これらは右自白の補強証拠たり得るものと解すべく、原判決がこれらの証拠を綜合して覚せい剤注射液合計八千本の譲渡の事実を認定したのは正当であつて、所論のように証拠によらずして事実を認定した違法あるものではない。論旨は理由がない。